●平成19年度の住民税
5〜6月にかけて平成19年度の住民税の納税通知が、納税者の手元に届いています。サラリー
マンは6月分の給料から19年分の住民税を差し引かれるようになりました。そのとたんに、区役所な
どに「間違いではないのか」「どうしてこんなに増えたのか」という問い合わせが、殺到しているそうで
す。でも、その税額はおそらく間違いではありません。
では、なぜ住民税がいきなり増えたのでしょうか?
1.税率の変更
住民税(都道府県民税+市町村民税)の税率は、昨年度まで、所得が増加するにつれて増加する
「超過累進税率」が適用されていましたが、今年度から一律所得に対して10%になりました(最新情報−税法ここが変わった参照)従ってこれまで低い税率(5%)がかかっていた低所得部分は税金が倍増して、全体としてかなりの増税になった方が多かったはずです。
一方、所得税(国への税金)はその分税率が下がって、所得税率+住民税率は前年分とおなじになっています。ただし昨年までの「特別減税」はなくなりました。
自営業者、年金生活者など、今年の3月に確定申告をした方は、その時所得税を支払いました。これは平成18年分の所得税です。つまり後払いだったわけです。
ところが住民税は、この確定申告を基礎にして平成19年分の税額を計算し、6月以降年4回(サラリーマンは毎月)税金を支払います。後払いではありません。確定申告をした方にとっては、所得税が減税になる前の18年分をつい最近払ったのに、増税になった住民税をすぐにまた払うことになって、ショックが大きかったことでしょう。所得税の減税が実感できるのは、来年3月になってしまいます。
給料を受け取っているサラリーマンの方は、平成19年1月の給料から19年分の所得税の税率で計算された税額が源泉徴収されています。月給約75万円(社会保険料を引かれた後の金額)以下の人は、昨年より徴収額が減っているはずです。ただし昨年までは「特別減税」があって、本来の税率より割り引かれた税額が引かれていましたので、減税感は中途半端なものになってしまいました。
そこへ6月からの住民税増税がきたので、やはり少なからずショックだったかも知れません。
このように納税する側が税金に対して疑問を持ち、役所に問い合わせたりするのは、決して悪いことではないと思います。私たちはとかく「税金は取られるもの」という感覚で、言われるがままに税金を払ってしまいがちです。特にサラリーマンは給料から差し引かれるために、税金を払っているという自覚さえなくしてしまう人が多いのではないでしょうか。
でも、本来税金は「取られる」のではなく、納税者が納得のうえで「支払う」ものです。おかしいと思ったら、その疑問を税金を徴収する側にぶつけるのもいわば納税者の権利です。
このようにして納税者が税金の知識を高め、税金の課税の仕方やその使い道に関心を持つようになれば、行政の側もうかうかしていられなくなります。
今回の「住民税にビックリ」は納税者としての自覚を持ついいきっかけです。税金を支払う側、受け取る側が適度の緊張関係を保っていれば、国と地方自治体の運営がいい方向に向かっていくことでしょう。