税法上の「給与所得」=俸給、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与による所得
「給与」を広く解釈しているので、サラリーマンも、社長も、議員も、フリーターも皆「給与所得者」
給料に対する税金は、原則的に税務署に申告しません。勤務先で給料から税金を差し引くことで納税が完了します。税金は給与の支払い者が本人に代わって納付しているのです。
では、給与所得者は税務署と全く無縁なのでしょうか。
(1)年収が2,000万円を超える場合。
(2)2ヶ所以上の勤務先から給料を受け取っている場合。 など
(1)年末調整を行っていないとき
(2)火災・盗難などの被害にあった、医療費が多くかかった、一定の寄付金を支払った等の場合。
(3)ローンを組んで自宅を新築、購入または改修した場合。
給与収入−給与所得控除=給与所得(収入すべてが課税されるわけではない)
事業所得のように、実際にかかった必要経費を差し引くわけではない。
給与収入に実際にかかる経費は、年間50万〜70万円程度、あるいは収入の10%以下ではないかと
いわれているので、実費より多目に設定されていることになる。
個人事業の場合: 事業主は事業所得を申告し、所得税を支払う。
会社にした場合: 会社は法人税を支払う。事業主は会社の役員となり、給与所得について所得税を支払う。
個人事業を会社組織にすると、会社+個人の所得合計が、給与所得控除分だけ減少する。
「会社を設立すると節税になる」と言われているのは、この仕組みがあるから。
2.税法改正と節税防止策(平成18年4月1日以降開始の事業年度)
社長とその一族が独占的に支配している法人は、「法人の利益+社長の給料」の額の過去3年間平均が800万円超(平成19年4月1日開始事業年度からは1,600万円超)になる場合、社長の給与の「給与所得控除額相当」を法人の利益に加算して課税する。
(この制度の問題点)
(1)この制度の対象になる法人は、殆どが中小零細企業。多額の利益をあげ、社長も高給を取っている大企業は対象外。
(2)法人化による節税が成立するのは、「給与所得控除」の性格付けが曖昧なうえ、役員報酬とサラリーマンの給与を同じ扱いにするなど、「給与所得」そのものに問題があるため。根本的な解決策になっていない。
(3)会社法が整備され、会社設立が容易になったのに、企業を目指す事業家の意欲を削ぐことにもなりかねない。
この制度の対象になる法人の条件を外れればよい。
(1)社長とその親族が会社の株式の90%以上を所有していると対象になる。
→社長一族の株式の一部を、親族(内縁関係も含む)以外の者に譲渡するか、株主を募って増資し
持株割合を下げる。
※ただし欠損会社以外は、譲渡した者・された者・新規株主に、所得税または贈与税が課税される
可能性あり。
(2)(1)に加えて、常勤の役員の50%以上が社長一族で占められていると対象になる。
→従業員など親族以外の者を役員に加え、一族の構成割合を50%以下にする。
※「常勤役員」であることが条件。名前だけの非常勤役員はダメ。
従業員の場合、使用人分給与より「役員報酬」の方が多くなければならない。
会社の組織全体にかかわることなので、対策をとったために組織が崩壊しては本末転倒になる。
対策は慎重に。